FSC森林認証

FSC森林認証取得は 持続的森林管理への一里塚

【専門家からのコメント】 東京大学教授 白石 則彦

自然豊かな山地に広大な面積を占めて営まれる林業は,昔から重大な社会的責任を負ってきました。それは,地域の人々を山地災害から守り,安全でおいしい水を提供し,貴重な動植物を保全することなどです。最近ではさらに地球温暖化防止や,環境教育の場の提供なども加わり,森林・林業に求められる役割は多様化しています。

しかし森林がそうした役割を適切に果たしていることを示すのは容易なことではありません。また森林所有者が一人一人で努力してもなかなか進んでいかないでしょう。

私は,FSC森林認証を,森林管理について第三者が行う客観的な監査であると考えています。世界で最も厳格といわれているFSC森林認証を取得することで,適正な森林管理が行われていることが証明できるのです。認証された森林から生産された木材にはFSCのラベルが付けられます。かが森林組合の森林管理に賛同する人々がラベル付きの木材を購入してくれることで,循環の「環」がつながります。

このたび,かが森林組合がFSC認証取得に挑戦したことを契機に,この森林管理計画が作成されました。この計画では,短期・中期・長期の目標をそれぞれ明確に定め,その目標に向かっていま何をすべきかが具体的に描かれています。地域の社会・経済・環境に配慮し,関係者が一丸となって作り上げたものです。戦略的であり,かつ森林・林業に対する夢と期待が込められた他に例を見ない素晴らしい森林管理計画です。

この計画を実践する過程で,これまで無意識にやってきたことを問い直し,どうすればよりよくなるのかを模索すること,つまり「知恵を出し続ける」ことが最も重要です。森林認証を取得することは,手段であってそれ自体が目的ではなく,いわば目標実現への一里塚です。森林管理に関わる人々が自信と誇りを持てるような,質の高い森林管理の実現を期待しています。

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白石 則彦(しらいし のりひこ)
東京大学教授,農学生命科学研究科森林科学専攻。農学博士。
1955年東京都生まれ。東京大学農学部卒。林野庁森林総合研究所研究員,東京大学助教授を経て,2004年12月より現職。
専門は森林経理学,森林計測学。1999年に我が国初のFSC森林認証の審査員を務めたことが契機となって森林認証の研究に関わるようになった。最近は森林認証をツールとして国内林業を活性化する研究に力を注いでいる。著書に森林ビジネス革命(訳編)築地書館(2002),人と森の環境学(共著)東大出版会(2004)など。

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